ネスティの説明はわかりやすく簡潔であった。 理解した事を順番に箇条書きにしてみるとこんな感じ。
「………って事は、ネスティさんが私のご主人様って事でしょか?」 理解した内容に、嫌な単語がいくつかあったので、それを否定してもらおうと、ネスティに言う。 だけど、ネスティはあっさりと真顔で頷いた。 「そういう事になるな」 「!!!」 衝撃。 99%帰れないような事を言われた上に、ネスティ・バスクという召喚師の下僕。 元の世界に帰れる云々はどうでもいい。 私にはゲームと本以外に未練はないのだから。 けれど、下僕というのはいただけない。 だって、ネスティをご主人様と呼んで敬って、ご主人様(ネスティ)の身の回りの面倒を見て、命を賭けてでもご主人様(ネスティ)を守るだなんて……… なんていうか………屈辱。 なんで、こんな人間の下へと降らなければいけないのだろうか。 確かに、素直で純情な性格には好感を持てる。 容姿も……良いとは思う。 この言動からして、おそらく頭も良いだろう。 先程の説明の仕方からしても、教え上手なのがよくわかる。 教師に向いているな………と、話がずれた。元に戻そう。 なんだかんだとネスティを褒めまくっている私だが、嫌なのだ。 なんていうか、こう、ネスティの下には意地でも降りたくないような……。 てか、ネスティの下僕だなんて屈辱以外の何者でもないと思う。 ああ、人権だの何だのと騒いでいる世界が懐かしい…。 そんなことをあれやこれやと考えていると、ネスティが困り顔で話しかけてきた。 「…そんな顔をしないでくれ、」 少し弱ったような声音。 その表情は、どこか泣きだしそうな、哀しそうな顔で。 おや?……と、私は首を傾げた。 「いつになるかわからないが、ちゃんと元の世界に戻すと約束するから…」 その声に表情に。 私は素直に頷いていた。 その私を見て、ネスティは少しだけ微笑んだ。 その優しさと哀しみの混ざった笑みに、確信してしまう。 彼は、痛みを知る人間だ。 |